2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05243
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
オルガ サフロノバ 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | HDAC / MCP-1 / Il-8 / クロマチン / 低酸素 / 炎症 / NF-κB |
Research Abstract |
炎症局所や固形ガンの中心部における低酸素状態は、病態の進展に重要な各種サイトカイン・ケモカインの産生を調節している。しかし、これまでのサイトカインネットワークの構築に関する研究は通常の酸素分圧で行われており、炎症局所を反映していない。そこで、本研究では低酸素による種々のケモカイン産生の調節におけるケモカインのプロモータ領域へのNF-κB/HDACを含むタンパク複合体の結合の重要性を明らかにすることを目的としている。本年度は、IL-1存在下で低酸素により発現が正に制御されたIL-8と負に調節されたMCP-1を用いて,その作用機序の解明を行なった。その結果、プロモータアッセイにおいては、MCP-1もIL-8同様、低酸素で活性上昇が認められること、この活性上昇にはNF-κB結合サイトが重要であることが明らかとなった。そこで、クロマチンリモデリングに注目して実験を行なったところ、低酸素においてHDAC活性の上昇が認められ、このHDAC活性を抑制したところ、低酸素に伴うMCP-1産生の低下が認められなくなった。一方、IL-8の産生には影響がなかった。さらに、低酸素に伴い、NF-κBのb65サブユニットがHDAC-2と結合すること、およびこの結合に伴いHDACの活性化が認められた。このことは、低酸素シグナルがNF-κBとHDACの活性化を介して、NF-κB結合領域においてクロマチンの脱アセチル化依存的に遺伝子の発現を調節していることを意味しており、さらなる展開が期待できる。さらに、低酸素によるHDACの活性化に注目して、その作用機序の解明を行なったところ、カゼインキナーゼ-2の活性化がHDACをリン酸化し、活性上昇を引き起こしているという新しい知見が得られ、新たなガン治療薬の可能性も考えられることより、現在、さらなる検討を行なっている。
|