2006 Fiscal Year Annual Research Report
質量降着型X線パルサーのX線スペクトルおよび時間変動の研究
Project/Area Number |
05F05249
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
堂谷 忠靖 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部高エネルギー天文学研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAIK Sachindranatha 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部高エネルギー天文学研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | X線天文学 / X線CCD / X線パルサー / X線天文衛星 / 質量降着 |
Research Abstract |
H18年度は、『すざく』搭載X線望遠鏡の較正と、『すざく』のデータを用いたX線パルサーAO535+262の解析を中心に研究を行った。 X線望遠鏡の較正では、X線CCDカメラを中心に、以下のような解析を行った。(1)放射線損傷によるCCDのゲインやエネルギー分解能の経年変化の調査、(2)CCDカメラの可視光遮断膜に付着している汚染物質の組成や量の調査、(3)電荷注入による性能回復試験、などの解析である。これにより、『すざく』のデータの高精度の解析が可能になった。また、電荷注入によりCCDの性能がほぼ打ち上げ当初の値に回復する事が確認できた。今後、電荷注入は観測に標準的に使用される。これらの結果は、国際会議で発表するとともに、学術雑誌に査読付き論文としても発表した。 X線連星パルサーA0535+262は、突発型のX線天体で、あるとき急激に明るくなり、数ヶ月かけて減光していく。『すざく』は、A0535+262を減光時に観測し、4E35erg/secという低い光度だったにも関わらず、45キロ電子ボルトにサイクロトロン共鳴構造を検出した。これは、X線放射領域の磁場強度が4E12ガウスである事を意味する。この磁場強度は、X線光度が桁違いに大きい時と変化がなく、2桁の広いX線光度に渡って輻射領域の磁場強度が安定している事を意味する。従来、X線光度が増加すると、輻射領域は高さ方向に広がり、平均磁場強度は減少するものと考えられていた。一定の磁場強度は従来の描像に反するもので、X線パルサーの輻射領域の構造を考える上で、重要な手がかりになると考えられる。この結果は、学術雑誌に査読付き論文として発表した。
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Research Products
(5 results)