2006 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀における中国ホルチン地域の土地開発と環境変容
Project/Area Number |
05F05254
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
澤田 裕之 立正大学, 地球環境科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WULAN Tuya 立正大学, 地球環境科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ホルチン沙地 / 砂漠化 / ホルチン左翼後旗 / 人口増加 / 退耕還林還草プロジェクト / 庫倫旗ハイスガチャ |
Research Abstract |
1.ホルチン沙地における初期段階の環境情報の収集と確認:1935年-1975年-1995年-2000年においてホルチン沙地の砂漠化は、それぞれ強烈な発展-発展-逆転の3つの変化時期を経た。ホルチン左翼後旗では、1935年の砂漠化土地面積は総土地面積の28%を占めていたが、1975年には71%に激増し、それが2000年には36%まで縮小した。現地住民によれば、1930年代のホルチンは「狼が出没する茂った草原」、1980年代は「ウサギも見えない砂の海」、20世紀末には「雉がまた見えるようになった」と表現される。 2.ホルチン沙地の人口変化と集落の変遷:ホルチン沙地の平均人口密度は1916年の2.4人/km^2から2000年には39.72人/km^2になり、この間の人口密度は17倍に激増した。人口増加のピークは1940年代と1960年代である。その原因は、戦乱期の移民と新中国成立初期の計画的な移民によるものである。内モンゴル庫倫旗ハイスガチャの場合、戸数は1930年代の8戸から、2000年の107戸に増えた。人口の激増と土地開墾の増大はホルチン沙地砂漠化拡大の最大の人文的要因である。 3.リモートセンシング調査によれば、21世紀に入って以来、沙地は相対的に安定段階に入り、2005年におけるホルチン左翼後旗の砂漠化土地面積は総土地面積の35%であった。沙地生態環境の好転と土地砂漠化の相対的安定は、20世紀末から実施された「退耕還林還草プロジェクト」に代表される治砂防砂シリーズプロジェクトと密切に関係している。しかし、プロジェクトの実施は生態環境の悪化問題を解決したものの、貧困からの脱出、少数民族地域の調和と安定などの経済的政治的問題については、長期的に評価してゆく必要がある。
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