2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05260
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
金城 厚 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GILLAN M.A. 沖縄県立芸術大学, 附属研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 民族音楽学 / 沖縄 / 民謡 / 音楽分析 / 奄美 |
Research Abstract |
今年度の研究によって得られた結果は、主として次の3点に集約できる。 1)琉球古典音楽のさまざまな楽曲のなかには、旋律の形状が類似していて、同系と見られる楽曲の組み合わせがいくつか認められるが、これらの中に、旋律の「拡大」または「縮小」の技法によって意図的に編曲あるいは創作されたグループが見られることを明らかにした。 2)奄美諸島での民謡調査の結果、「朝花節」に関して、地域別、あるいは個人別の演奏の違いにもとつく旋律変容が、多種多様な音階の使い分けと結びついていることを明らかした。 3)沖縄・奄美・八重山各地の民謡の構造分析、および琉球古典音楽との比較を通して、同じ楽曲のフシに多様な歌い出し(アゲとサゲ)があることを明らかにし、これを広範に比較した結果、演唱の情況による変形が次第に様式化してゆき、遂には新たな別曲を形成していく過程を描き出すことに成功した。 以上の研究結果について、9月には台湾の宜蘭県で開催されたICTM(国際伝統音楽学会)東アジア研究会にて、また10月には京都市立芸術大学で開催された東洋音楽学会全国大会にて、研究発表を行い、高い評価を受けた。 今年度の研究成果の刊行については、昨年度行なった徳之島での調査をもとに地域や個人による旋律の変化を分析し、この論文が沖縄県立芸術大学附属研究所紀要に掲載された(「研究発表」の項参照)。また、東洋音楽学会大会で発表した研究を論文「琉球列島の音楽におけるアゲとサゲ-変形の様式化をめぐって」にまとめ、同学会の機関誌『東洋音楽研究』に投稿した。これは既に査読審査に合格し、同誌への掲載が決定している(平成19年8月刊行予定)。
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Research Products
(1 results)