2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本語における説得と韓国語における説得の修辞学的比較研究
Project/Area Number |
05F05264
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳澤 浩哉 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 洪 広島大学, 大学院教育学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本語 / 韓国語 / レトリック / 説得 / パトス / エートス / 国会答弁 / 新聞社説 |
Research Abstract |
日本語と韓国語での説得を西洋修辞学の蓄積を利用して比較し、両言語による説得方法の違いを、特に説得の戦略部分において明らかにする事が本研究の課題である。新聞社説・国会答弁・ドラマを分析対象とし、社説と国会答弁の分析が終わっている。(平成19年3月現在) 新聞社説の比較では、日韓の複数の新聞社の新聞社説、総計267本について、次の点について比較を行った。導入とまとめの手法、接続詞の選択、情緒的語彙の用法、直接話法の頻度、感情を刺激する表現等。これらの比較から、日本語では話者の性格(エートス)を信頼させることによる説得が、韓国語では感情を刺激すること(パトス)による説得が、それぞれの説得戦略の中核にある事を明らかにできた。(17年度) 国会の答弁では、日韓の予算委員会での答弁を対象に、新聞社説の比較に使用した視点に加えて、人称代名詞や実例描写の手法などの観点を取り入れ、説得戦略の違いを考察した。韓国の国会は表面的には強い口調の答弁が行われるが、実際には、相手のメンツ(エートス)と自分のエートスを重視し、特に相手のエートスに配慮した答弁が行われている。これに対し、日本の国会では、相手のエートスが第一の攻撃対象とされ、発言者の責任は「わが党」といった複数の人称を使うことで曖昧化される。相手のエートスの重視において日韓の答弁は対照的である。(18年度) 日韓とも、場によって説得戦略が使い分けられていること、また一見感情的に見える韓国の国会答弁において、実はエートスが重視されていることなど、日韓の説得を考える上で、注意すべき事実を本研究の成果として得ることができた。現在は、日本のドラマとそれを翻案した韓国映画の比較を行っており、特に口論場面の比較を行っている。
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Research Products
(2 results)