2006 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期における日本北辺と北太平洋地域の歴史的研究-1789-1821を中心に-
Project/Area Number |
05F05265
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 勝生 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOLLER Susanne 北海道大学, 大学院文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 北太平洋地域 / 毛皮狩猟 / 先住民対策 / ロシア北方政策 / 日露対外交渉 / 千島アイヌ / 露米会社 / ウルップ島 |
Research Abstract |
平成18年4月から平成19年3月までの作業の成果は以下の通りである。 (1)論文 「18世紀後期北太平洋地域におけるロシアの探検-ロシア政府の北方政策を中心に-」では、以下の内容を検討した。A)海獣の宝庫である北太平洋におけるロシアの活動、先住民に依存する狩猟の様子、毛皮狩猟に進出する欧米諸国の動向。B)ロシアの活動地域に侵入する外国船の増加によって、ロシアの北方政策が領土確保へと変化し、探検隊を組織した過程。C)北太平洋における欧米諸国の進出以前と以後の、ロシア政府の北方政策の具体的変化。特に領土確保において重要な意味をもつ先住民を対象とした帰属政策。 この論文は現在投稿準備中である。 (2)学会発表 平成18年9月13日、ドイツのボン大学で開催された「ドイツ語圏における日本学会」において、「初期日露の接触とその意味」をテーマに発表を行った。この発表では、ロシア人が始めて蝦夷地に現れ、日本と接触を持った1770年代後半から1780年代にかけての、北方における初期の日露対外交渉を取り上げ、また千島アイヌの交渉における役割に注目した。 発表原稿は現在投稿準備中である。 (3)現在取り組んでいる研究 1799年から1821年までの時期に焦点を当て、1799年の幕府による蝦夷地直轄化と露米会社設立、また1821年の直轄の終了と会社見直しという、日露で同時進行的に生じた出来事を相関する歴史として捉え、総合的に検討する研究を行っている。この研究では、特に露米会社の実態、およびこの時期の日露接触史の解明が中心となる。具体的言えば、ウルップ島におけるロシア人居住地の成立過程、住居地の実態、幕府の反応と対策などについて検討を進めているところである。この住居地をめぐっては、日本とロシアの間に南千島、特にウルップ島とエトロフ島の領域を両国間でどう扱うかが議論された。このテーマについての史料収集はすでに終わった段階であり、現在古文書史料を解読する作業を行っている。
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