2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期における日本北辺と北太平洋地域の歴史的研究-1789-1821を中心に-
Project/Area Number |
05F05265
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 勝生 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOLLER Susanne 北海道大学, 大学院・文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 18世紀後期 / 北太平洋地域 / 江戸幕府 / 千島探検 / 千島アイヌ / ロシア北方政策 / 毛皮狩猟 / 最上徳内 |
Research Abstract |
平成17年11月から平成18年3月までは、主に博士論文の未発表部分について新しい史料を加え、論点を補強する作業を行った。作業の成果は以下の通りである。 (1)論文「天明年間の幕府による千島探検」では、最上徳内、および、従来検討されてこなかった御普請役山口鉄五郎の動向を含め、探検の経緯を見直した。そして、幕府がエトロフ島で始めて接触した3人のロシア人の存在と行動は、当時のロシアの北方政策そのものを体現していたこと、彼らを通じて、幕府が北太平洋地域と千島におけるロシア人の活動実態をかなり正確に認識したこと、またロシア人と千島アイヌの間にたびたび紛争が起こり、千島アイヌの活動が多様であったことを明らかにした。 この論文は平成17年12月、『東北・北海道史研究』第2号に掲載された。 (2)現在取り組んでいる論文「18世紀後期北太平洋地域におけるロシアの探検-ロシア政府の北方政策を中心に-」では、以下の内容を検討した。 A)海獣の宝庫である北太平洋におけるロシアの活動、先住民に依存する狩猟の様子、毛皮狩猟に進出する欧米諸国の動向。 B)ロシアの活動地域に進入する外国船の増加によって、ロシアの北方政策が領土獲得へと変化し、探検隊を組織した様子。 C)北太平洋における欧米諸国の進出以前と以後のロシア政府の北方政策の具体的変化。特に領土確保において重要な意味をもつ先住民をどのように帰属させようとしたかに関する、ロシアの先住民対策。 この論文は4月完成を目指し、投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)