2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本の多言語化における在日コリアンの社会言語学的研究
Project/Area Number |
05F05266
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
庄司 博史 National Museum of Ethnology, 民族社会研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Miseon 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 在日コリアン / 多言語化 / 多言語景観 / 移民言語 / 言語接触 |
Research Abstract |
外国人特別研究員、金美善の2007年4月から2007年10月までの研究実績を報告する。 昨年に引き続き日本の多言語化における在日コリアンの社会言語学的研究をテーマに、コリアンコミュニティの言語状況について、以下の二点に注目して調査を行った。 まず、在日コリアン集住地域の言語景観について、東京都新宿区、特に最も外国人が集住する大久保通りを中心に一定の区画にあるすべての商業用看板と張り紙を記録し、その内容を発信者と受信者別に類型化した。また、看板の言語をエスニック別にわけ、言語と文字、業種などから外国人の経済活動と地域の言語使用の実態を把握した。調査地域では、韓国語やハングルが著しく突出しており、次に中国系、他のタイやインドなどアジア系の外国人の経済活動に伴う言語使用が目立つ。 次に、在日コリアンの民族語教育活動について、主に総連系の朝鮮学校を中心にその方法や成果、言語評価等について調べた。調査の方法は授業参観を通して生徒たちのバイリンガル状況を観察し、京阪神地区の国語(朝鮮語)担当の先生との座談会において、国語教育の実際の方法についてインタビュー調査を行った。朝鮮学校は非一条校として財政的な面など不利な教育環境におかれているが、その分、独自のカリキュラムや方法論で生徒たちに民族語教育を行っていることがわかった。またその教育内容や生徒の言語能力に対する自己評価と学校や組織内部における規範を軸にした言語評価にはかなりのずれがあり、朝鮮学校の民族語教育の抱えている問題として指摘できた。以上の研究成果の一部は口頭、および論文として発表した。 研究代表者である庄司は、本研究分担員の研究をふくめ、日本の多言語化の観点から日本の言語景観に関し、学会でワークショップを主宰したほか、単行本として論集を共同編纂中である。
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Research Products
(8 results)