2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 Kyushu University, 大学院・芸術工学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GERARD B.Remijn 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 視聴覚の相互作用 / マルチモーダル / streaming-bouncing現象 / 実験心理学 / 注意 / 補間 |
Research Abstract |
Streaming-bouncing現象は、2つの視対象が接近し、重なり、離れていく際に、すれ違っていくように見えたり、跳ね返って見えたりする曖昧な知覚現象である。視覚対象が遮蔽物の後ろを通り抜ける際に、網膜上では像が消えるが脳内では、注意の働きによりその表象が維持され、対象の存在と運動の連続性が保たれることが、このstreaming-bouncing現象によって実験心理学的に示された(G. B. Remi jn, H. Ito, Perceptual completion in a dynamic scene : An investigation with an ambiguous motion paradigm. Vision Research, 47(14), 1869-79, 2007))。また、この動的物体の補間は遮蔽物の視認性によって大きく影響を受けた。さらにこの現象を用いることによって、時間的側面から視覚と聴覚の相互作用の範囲を調べた。上記現象は視覚刺激に加え、衝突時に聴覚刺激を提示することによって、bouncing知覚が促進されることが知られている。それらの統合可能な時間の幅は広く、提示順序が時間的に逆(音が後)であっても、視覚の解釈に影響が及ぶなど、脳における視聴覚情報の相互作用の柔軟さが、心理物理学的実験により明らかになった。次に、光のフラッシュと短い音を使った時間的な順序判断の実験を行った。通常、音に対する処理は光に対する処理より早いことが知られているが、時間的順序の判断は、単独の光と音のみによってなされるとは限らず、複数の音刺激と光刺激がある場合には、時間的なグルーピングなどの文脈効果によって影響を受けることがわかった。この結果は2007年のEuropean Conference on Visual Perception (Arezzo, Italy)において発表した(Remi jn & Ito, Perception, 36, supplement, 2007)。これらの結果から、脳における視覚と聴覚の情報の統合が単にタイミングのみに依存するものではなく、ある時間範囲の中で文脈等による影響を受けつつ総合的に処理されるものであることが示された。
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Research Products
(3 results)