2006 Fiscal Year Annual Research Report
京都議定書下における日本の約束実現に対するゴム農園の役割:経済モデルの作成
Project/Area Number |
05F05276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹谷 裕之 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAGATH Siri Kularatne 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 京都議定書 / 炭素取引 / クリーン開発メカニズム / ライフサイクル分析 / ゴム園設置費用CDMモデル / ゴム園栽培費用CDMモデル |
Research Abstract |
本研究は、(1)スリランカにおけるゴム農園の平均炭素吸収能性の包括的推計、(2)環境へのCO2排出を補償するための炭素取引の施策として、スリランカのゴム農園に投資する潜在的手法と日本の炭素排出削減の現存技術との比較経済分析を課題とする。 上記目的に向け、京都議定書、木本作物の炭素吸収、炭素取引、及び日本の炭素税等に関する既存研究を検討し、また経済的なモデル化手法、及びライフサイクル分析(LCA)技術を研究した。 フィールド研究は、スリランカのゴム園の炭素吸収データをゴム研究所等の協力によって集めた。またゴム農園・ゴム関連産業の相応する社会経済データを5地区のゴム農園とゴム工場の調査により収集。小規模ゴム園や大規模ゴム園会社、大学、プランテーション省等で聞き取りした。日本では、環境省、炭素取引仲買業者、電力会社、製紙会社等でインタビューし、炭素取引やクリーン開発メカニズム(CDM)に関わる対応と取組みに関わる情報を収集した。これらデータを解析し、炭素排出削減に向けたゴム園投資取引の実効モデルを検討した。 その結果、ゴム農園の平均炭素吸収量は7,10,15,20,25年生の各ゴム農園で、それぞれ約16,28,42,48,49MT/haと計測された。ゴム農園はまた25年生で165m^3の材木を生産することが判明。これらを踏まえ、ゴム農園に投資する二つの経済モデルをCDMプロジェクトとして構築した。一つは、ゴム農園設置費用のみを賄う投資家向けモデルで、投資に対する炭素信用のみを得るもの。もう一つは、ゴム栽培の全費用を投資する投資家向けモデルで、炭素信用に従いゴム栽培の全経済利益を手にする。これら二つの経済モデルは投資家にとって2US$/MTの炭素価格で採算があい、同価格は現行市場価格8US$/MTより低いものである。それ故、ゴム栽培は炭素信用を求める投資家にとって経済取引の対象となるとの、結果を得た。
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