2007 Fiscal Year Annual Research Report
京都議定書下における日本の約束実現に対するゴム農園の役割・経済モデルの作成
Project/Area Number |
05F05276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹谷 裕之 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KULARATNE Jagath Siri 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 京都議定書 / 炭素取引 / クリーン開発メカニズム / ゴム園設置費用CDMモデル |
Research Abstract |
本研究は、(1)スリランカにおけるゴム農園の平均炭素吸収能性の包括的推計、(2)環境へのCO2排出を補償するための炭素取引の施策として、スリランカのゴム農園に投資する潜在的手法と日本の炭素排出削減減の現存技術との比較経済分析を課題とする。伝統的プランテーションにおける炭素吸収量は、計画中の農園よりも高いことが判明した。計画中のゴム園では、7,10,15,20,25年生のゴム樹木は、それぞれ約11,24,36,42,44MT/haの炭素を固定しており、25年生で125m^3に及ぶことが計測された。これらの推計値は、炭素取引に関心を持つ機関・組織に有益なものである。サンプルにした農園は必ずしもうまく経営管理されていなかったことからすると、もっと上手に管理すれば、高い炭素吸収量とより収益的な製材業が成立することを示している。これらを踏まえ、ゴム農園に投資する二つの経済モデルをCDMプロジェクトとして構築した。一つは、ゴム農園開設費用を賄う投資家向けモデルで、投資に対する炭素信用のみを得るもの。もう一つは、ゴム栽培の全費用を投資する投資家向けモデルで、炭素信用に従いゴム栽培の経営利益を手にすることができるものである。これら二つの経済モデルは投資家にとってトン当たり2US$の炭素価格で採算が合い、同価格は現行平均市場価格並びに今後予想される価格よりも相当に低いものである。かくして、ゴム樹木のいろいろな成長段階における短期の投資類型を提示したわけだが、これは長期の投資リスクを避け、炭素信用を確保するために長時間待つことを回避するためである。我々はまた長期・短期の両方の投資が、炭素信用を求める投資家にとって経済取引の対象となるとの結果を得た。さらに、炭素取引活動並びに投資を運営する制度設計についても一つの方法を提示できた。研究全体を通して、ゴム栽培が炭素取引を導入することで、先進国・途上国ともに利益を得るものであることを提示できた。
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