2005 Fiscal Year Annual Research Report
生命システムの統合的理解のための生物情報ネットワークの構造および動的挙動解析
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05F05284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿久津 達也 京都大学, 科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOSE Carlos Nacher Diez 京都大学, 科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 代謝ネットワーク / システム生物学 / スケールフリーネットワーク / 遺伝子ネットワーク / 遺伝子発現データ / 酵母 / タンパク質ドメイン / タンパク質相互作用 |
Research Abstract |
代謝ネットワークは複雑かつ細胞中で重要な役割を果たしている。それらは化合物を生成し、そして酵素は化合物間で化学反応を触媒とし、さらに、これらの酵素は遺伝子発現を制御している。代謝ネットワークの構造は一般には静的なものとして表現されることが多いが、環境の違いにより、どの部分ネットワークが活性化するかが異なる。すなわち、代謝ネットワークは静的なものではなく、環境に対する動的適応性が存在する。この動的適応性に関する情報(の一部分)は遺伝子発現データにより得ることができる。それゆえ、本研究の目的とする生命理解のための統合アプローチを発展させるために、これら三つの要素、すなわち、化合物、化学反応、遺伝子発現を統合して扱うことが重要となる。 我々は酵母(S.cerevisiae)の遺伝子発現反応を認識するため、13種類の外部シグナルに関する遺伝子発現データから統計解析を行った(シグナルの例としてはhydrogen peroxide treatment (H2)やnitorogen depletion (N)がある)。我々は、特に特定の条件に敏感な遺伝子を同定し、これらのサインを引き起こす遺伝子発現データと酵母のネットワーク構造上のデータを統合することにより、シグナルにより誘導もしくは抑圧される部分ネットワークを同定し、解析した。その結果、これらの部分ネットワークがランダムネットワークとは大きく異なることを明らかにし、また、高い連結性を持っていることを明らかにした。 また、上記の研究とは別に、以前に解析したタンパク質ドメインの分布のスケールフリー性(べき乗則)に関する結果を拡張することにより、タンパク質相互作用ネットワークにおいて観測されるスケールフリー性を再現するという結果も得た。
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Research Products
(3 results)