2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05291
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岩下 和義 埼玉大学, 工学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISLAM Mohammad Shariful 埼玉大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 日干し煉瓦 / Adobe / 耐震性 / 植物繊維 / ジュート / 国際研究者交流 / 組構造 / バングラデシュ |
Research Abstract |
本研究の目的は、低コスト、低エネルギーで生産可能、材料が開発途上国でも容易に入手可能、熟練作業が不要、廃棄時に環境を汚染しないという条件をクリヤする実際に開発途上国でも適用可能な手法の開発にある。今年度は繊維素材と石膏によりアドベ素材を補強する手法を検討した。補強繊維には強度・耐久性に優れるが生産時・廃棄共に環境を汚染する化学繊維ではなく、強度があり低コストで生産量も多く廃棄時に容易に分解するジュートなどの植物性繊維を中心に調べた。 最初にアドベブロックを作成する手段を検討した。アドベブロックは天日乾燥して作成するものであるが、日本の気候はアドベを利用している地方に比べ気温が低くかつ湿度が高くなかなか乾燥しないため、土質実験用の乾燥炉で現地の気温を再現しサンプルを乾燥させる方法を試みた。まず自然乾燥の場合での養生期間と強度の関係を調べ、短期作成した資料の信頼性を確認する。そして現地のアドベの強度と固さを再現するために適した炉乾燥の温度と乾燥時間の組み合わせを決定した。 次にアドベの主材料である粘土、砂、稲藁のうち、もっとも強度に関係すると思われる粘土について日本で入手できるカオリンやモンモリロナイト等の粘土を試し、実際に使われているアドベ素材の強度を最もよく再現する最適な配合を検討した。その結果、用いる粘土により強度自体は大きく変わること、しかし植物補強の効果は用いた粘土に関わらず認められることを明らかにした。 最後に、アドベ素材の強度と延性がどのように向上するかを要素試験により定量的に調べた。実験では地震時に弱点となるブロックをつなぐモルタルの接合性を向上させるために植物繊維とセメントを用いた実験を行い、付着性能を比較した。その結果、モルタルにセメントを混ぜてもあまり付着性能は向上しないが、ジュートをアドベブロックとモルタルに混ぜ込むことで付着性能が改善されることを確認した。今後は、構造体全体の強度を向上するための費用が安く工法が容易で補強効果が高い複合的な工法を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)