2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05297
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NING W. 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 逆問題 / 非線形偏微分方程式 / 非線形係数 / 再構成 / 一意性 |
Research Abstract |
本研究では,非線形偏微分方程式,特に非線形拡散方程式に関する逆問題を研究している. 今年度は,研究課題の1つとして,ノイマン境界観測データから非線形拡散方程式の非線形係数を再構成する問題を考えた。具体的には、十分滑らかなn次元有界領域Ω上で方程式U_t-Δu+f(u)=0に対する初期境界値問題を扱い,ディリクレ境界値が既知として,ノイマン境界観測データから非線形項fを決定するという逆問題を考えた.これは自然科学応用も多い重要な問題である.この逆問題の一意性や安定性はすでに知られているが、未知関数fが既知データから具体的にどのように決定できるかは未解明であり,応用上非常に重要である.今年度の短い研究期間でこれを完全に解決することはできなかったが,その準備的な研究として,以下の成果が得られた. まず,熱方程式の基本解を利用して,上の問題を,Volterra-Fredholm型積分方程式に帰着した.安定この積分方程式は一意的な解をもつ.基本解の固有関数展開を用いて,この一意解が既知のデータから定まる係数をもつFourier級数で表されることを示した.この結果は,数値的シミュレーションに大きく役立つと期待している. 一方、上の逆問題を研究と関連して,準線形方程式a(x,u)u_t-Δu=0に対する逆問題の解の一意性も示すことができた.この逆問題は,1993年にIsakovが提出して以来未解決であった.一般に逆問題でよく使われる線形化法やCarleman評価は,上の逆問題には適用できない.本研究では,1988年にCannonとYinが類似の問題を解くために導入した積分評価に着目し,これと類似な積分評価を証明することで,上の逆問題に対する一意性を示した.
|
Research Products
(3 results)