2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05304
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡田 安弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Yufeng 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 素粒子論 / 素粒子実験 / B中間子 / Bファクトリー / CPの破れ / 電弱相転移 / バリオン数生成 / 小林益川理論 |
Research Abstract |
1.B中間子のチャームのないハドロン崩壊の理論的研究 Bファクトリー実験では、B中間子の様々な崩壊過程を用いて、小林益川理論の精密検証と標準模型を越える物理の探索をすることを目標としている。そのひとつのカテゴリーとして終状態にチャームを含まないハドロン崩壊の分岐比やCP非対称性の測定があげられる。最近のBファクトリー実験によりこれらの過程の情報は益々多く得られるようになってきているが、実験結果から基本的相互作用の情報を最大限に引き出すためにはハドロン物理による理論的不定性を少なくする努力が必要である。そのためには、いくつかのアプローチが試みられている。ここでは、ハドロン物理の模型に依らないアプローチとして、SU(3)フレーバー対称性を用いたハドロン2体系への崩壊モードの解析を試みた。一方では、終状態がπ中間子とK中間子に崩壊する過程を一般的な枠組みの中で解析し、そこで決められたCKM行列のパラメーターγが標準模型を仮定して他の観測量で決定されている値と良くあうことを見出した。また、とくにK中間子とη中間子やK中間子とη'中間子に崩壊するモードだけを使って同じパラメーターを少ない理論的な仮定によって導き出す方法を提案した。今後実験データが増えた場合にはこの方法が有用になると期待できる。 2.電弱相転移でのバリオン数生成とCPの破れ 宇宙のバリオン数がどのような機構で生じたのかを明らかにすることは素粒子物理と宇宙論にまたがる大きな問題である。ひとつの考え方として提案されていることは、電弱相転移の際にバリオン数生成が起こるというシナリオである。最も単純な標準模型は電弱相転移が一次相転移にならないのでこのシナリオを実現することはできないが、逆にヒッグスセクターがより複雑な模型ではうまくいく可能性がある。ここでは、一次相転移と並んでもうひとつの重要な要素であるCPの破れについて調べてその現象論的な意味を検討した。
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Research Products
(1 results)