2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子ホール電子系における端状態の位相干渉性とその制御
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05F05310
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮山 進 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHENAUD Boris 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 動的核スピン偏極 / 超微細相互作用 / 量子ホール電子系 / 電子スピン / 端状態 / 非平衡分布 |
Research Abstract |
スピン分極した端状態が生成する核スピン偏極の空間分布プロファイルや時間的ダイナミクスを調べるため、GaAs結晶基板上にGaAs/AIGaAsヘテロ構造結晶をMBE成長し、リソグラフィー加工により前面金属ゲート電極を有する素子を作成し、かつ希釈冷凍機温度において実験を行った。 具体的には、量子ホール電子系のランダウ準位占有指数2の状態で、アップスピンをもつ電子の端状態とダウンスピンをもつ電子の端状態をクロスゲートによって空間的に分離し、アップスピントとダウンスピンの間に非平衡分布を生成する。その際、電子スピンと核スピンの間の長微細相互作用によって、電子スピンのフリップ散乱にともなってGaまたはAsの核スピンが反対方向にフロップ散乱する。そのために、核スピンが電子の端状態に沿って強く偏極する(オーバーハウザー効果、または動的核スピン偏極)。それによって生じる核スピン偏極の空間プロファイルを、金属サイドゲートのバイアス電圧走査によってナノスケールで制御・検出し、核スピン偏極分布の空間プロファイルを明らかにした。さらに、核スピン偏極生成・減衰の時間的ダイナミクスを観察することによって、核スピンの拡散と格子緩和について知見を得ることができた。
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