2005 Fiscal Year Annual Research Report
原子スケールで制御した手法によるスピントロニクス材料およびデバイスの開発
Project/Area Number |
05F05313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HWANG H.Y. 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SONG Jong Hyun 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 電気デバイス工学 / 強相関電子系 / 結晶成長 |
Research Abstract |
スピントロニクス用素材の開発を目的として、レーザーアブレーションにより室温において強磁性を保持しうるペロブスカイト型マンガン酸化物の作製を行った。まず、マンガン酸化物において最も金属性が高いことでしられるLa_<1-x>Sr_xMnO_3に着目した。この系は、非常に多くの研究者がレーザーアブレーションによる作製を試みてきたものの、数100オングストローム以下の薄膜の物性の制御はきわめて困難であり、応用化の阻害の一因となってきた。我々は、これまで標準的に用いられてきた製膜基板温度よりも200度程度高い温度での製膜を試み、バルクの物性にきわめて近い薄膜を作製することに成功した。この結果については、従来の製膜が、レーザーのエネルギーに頼った動力学的な成長過程であったのに対し、本研究の製膜は、準平衡状態にかなり近い状態が実現することで、バルクに近い物性が実現していると解釈している。この結晶成長の様子を明らかにする目的で、薄膜の特性の基板温度および酸素圧依存性を完全に調べ、高温領域での最適な成長条件を明らかにした。さらに、デバイス化を想定して、界面直下でのマンガン酸化物のキュリー温度を高くするため、界面の終端面の制御と、スピンおよび電荷の「デルタドーピング」を含む原子レベルでのドーピングを行ない、接合の電流電圧特性・電気容量電圧特性を測定し、それらの室温における磁場応答を調べることで、マンガン酸化物界面において高いキュリー温度が保持されているかどうかの検討を行っている。
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