2005 Fiscal Year Annual Research Report
月探査計画SELENEによる高精度月重力場モデルの開発と月内部詳細構造の解明
Project/Area Number |
05F05320
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
佐々木 晶 国立天文台, 電波研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOOSSENS Sander.Johannes 国立天文台, 電波研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 衛星追跡 / 月重力場 / 軌道解析 |
Research Abstract |
今年度は、SELENEミッションにおける衛星追跡データ解析の準備として、過去の月探査衛星追跡データの解析を行った。これは、将来SELENEデータと他の既存のミッションのデータ組み合わせることにより、より良い月重力場モデルを構築することを念頭に置いたものである。Lunar Prospectorデータの解析を行い、重力場の球面調和係数を75次まで求めた。同期間のデータを用いてNASA/JPLで構築されたモデルとの比較の結果、我々のモデルはデータフィットと軌道の整合性の観点からJPLモデルと同等のパフォーマンスを有することがわかった。これは、我々独自の解析手法の妥当性がSELENEの打ち上げ前に検証されたことを意味する。この結果は2005年12月にAGU Fall Meetingにて発表した。 上記の解析で得られた重力場の共分散とSELENEについてのシミュレーション研究で得られた共分散を組み合わせ、高度100kmの円軌道をとる月探査機の軌道誤差を見積もった。SELENEデータを取り込むことにより、重力場誤差に起因するradial方向の軌道誤差が1mより小さくなることが期待されることが分かった。 SELENEの科学目標の一つは月の核の存否および存在するならその大きさの研究である。この議論の際に重要となるポテンシャルラヴ数k2の決定を試みた。Lunar Prospectorデータのみを解析している現状ではk2と重力場係数の相関が依然として大きく、信頼できる結果はまだ得られていないが、ApolloやClementineといったhistoricalデータを取り込むことにより相関を減少させることが期待できる。これらのミッションのデータおよび現在月を周回中であるSMART-1の追跡データは既に入手済であり、平成18年度に入手可能な全てのデータの解析を行う予定である。
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