2006 Fiscal Year Annual Research Report
下部地殻のレオロジー、剪断変形の局所化から地震性すべりにいたる流体の役割の解明
Project/Area Number |
05F05323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 学 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAIMBOURG Hugues 東京大学, 大学院理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 下部地殻 / 剪断変形 / 流体 / 日高 / マイロナイト |
Research Abstract |
今年度は本研究の第2年度となる。ただし、初年度は3ヶ月であり準備に費やされた。本年度の主要な目的は、北海道日高山脈の下部地殻相当の変成岩の地質学的調査、および資料収集であった。夏期に2週間に実施した。その結果、これまでの調査によって明らかにされていたそれらの分布を確認するとともに、詳細な変形構造とその結晶学的、化学的分析のための良質の資料を得ることができた。また、中部地殻程度に相当する深度にてかつて貫入したガブロの岩体に関しても、地質の調査を実施した。その結果、この岩体の内部では、変形が極めて不均質であり、一定部分に局所化しているが明らかとなった。この変形の局所化している箇所は流体の移動に伴う変成作用が進行していることも明らかとなった。 これらの、資料を持ち帰り、室内での分析を実施した。 1)光学顕微鏡下での岩石学的、結晶学的解析。同じく変形の構造質学的解析である。その結果、これらの岩石の変形は変成作用と同時的に進行している下部地殻下の条件下で進行したものであることを確認した。 2)変形の機構を確認するために、結晶方位統計解析をEBSD解析装置を用いて実施した。その結果、下部地殻の温度圧力下で進行した変形であるにも関わらず、塑性変形による微細結晶化とそれに伴う再結晶化は起こっておらず、結晶の脆性的破断による微細化が主要な機構であることが判明した。この結果は、下部地殻化での変形機構に関与する変形速度のパラメータなどの重要性を浮かび上がらせるものである。
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Research Products
(3 results)