2006 Fiscal Year Annual Research Report
斬新なエネルギー支援物理蒸着法による超硬質ナノコンポジット薄膜の研究
Project/Area Number |
05F05327
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
三宅 正司 近畿大学, リエゾンセンター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Zhuguo 近畿大学, リエゾンセンター, 外国人特別研究員
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Keywords | 材料加工・処理 / ナノ材料 / 複合材料・物性 / プラズマ加工 |
Research Abstract |
本研究では、高密度、低エネルギーのイオン照射の効果が期待できるICP支援によるマグネトロンスパッタリング法を用いて、ナノコンポジット薄膜の合成実験を行った。マグネトロン放電にICP支援することにより、基板に入射されるイオン密度が高められることが確認できた。又入射するイオンのエネルギーはRFパワーに依存しないで約20eVという低い値であることが確認できた。Ti-Si-N膜の微細構造についていうと高密度、低エネルギーのイオン照射により成膜温度は低くても、相分離が起こることが確認できた。XRD分析により、従来のマグネトロンスパッタリングのみで合成したTi-Si-N薄膜は非晶質であることがわかった。ICPを重畳してP_<rf>=500Wに増加させることにより、薄膜は十分結晶化して完全なTiN(200)面への優先配向が起こることが明らかになった。これは、イオン照射により熱力学的に最も安定である結晶配向が起こるためと考えられた。FESEM観察により、イオン照射していないで(P_<rf>=0W)合成したTi-Si-N膜は柱状構造であるが、成膜中に高密度イオン照射すると(P_<rf>=500W)、Ti-Si-N膜は微細な球状構造になることがわかった。この微細球状構造は、高密度で低エネルギーのイオン照射により、吸着原子の表面移動度が増加して、nc-TiNとa-Si_3N_4相分離が起こるとともにa-Si_3N_4によりTiN結晶の柱状成長が抑制されたと考えられた。さらに、X線光電子表面分析装置を用いてTi-Si-N薄膜中Siの化学状態を調べたところ、Siの化学状態はSi_3N_4となっていると分かった。このようにXRDとXPSの分析結果から見ると、ICP支援を行いて合成したTi-Si-N薄膜中でSiは非結晶Si_3N_4として存在していると推定出来た。
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