Research Abstract |
本研究では,次世代の超高速光通信ネットワークで用いられる波長1.2-1.3μm帯の面発光レーザの新しいモード制御技術を開拓し,完全単一モード化,高出力化,および高速化など,その極限性能を追及するとともに,その光ネットワークへの適用可能性を明らかにすることを目的とした.具体的には,高歪みGaInAs/GaAs量子井戸,あるいはInAs量子ドット構造を用いて,動作波長域を1.2-1.3μm帯まで拡大するとともに,金属ナノ構造によるプラズモン結晶構造を付加して,強い偏光依存性とモード選択性を発現させ,高出力・高速動作可能な完全単一モード面発光レーザの実現を目指した. 面発光レーザの偏光制御として,デバイス表面の金薄膜に偏光依存性を持たせ,それにより面発光レーザの偏光を固定する構造検討を行った.金薄膜に形成した開口から励起される近接場光強度と縦の開口径を固定したときの開口のアスペクト(縦/横)比の関係を検討し,正方形開口時に比べ最大約4倍の光パワー密度増加が見積もられた.さらに,入射偏光を90度傾けた時の開口からの透過光は,実に20dBも透過光が減衰することを明らかにし,強い偏光依存性が得られることがわかった.これをデバイス上の金薄膜に配置することにより反射率に偏光依存性が誘起でき,面発光レーザの偏光は開口の長軸に平行(反射率最大=利得最大)となることが考えられる.次に,偏光を制御しさらに近接場光を効率良く取り出す為に,アレイ状に配置した長方形の開口列の中心だけ開口の長軸方向を90度回転して配置した.これにより発振後では,全体として偏光はY方向に固定されほとんどの開口からの光出力は得られないが,中心の開口からは強い透過光が得られ選択的に中心のみ近接場光が観測することに成功した.
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