Research Abstract |
本研究では,次世代の超高速光通信ネットワークで用いられる波長1.2-1.3μm帯の面発光レーザの新しいモード制御技術を開拓し,完全単一モード化,高出力化,および高速化など,その極限性能を追及するとともに,その光ネットワークへの適用可能性を明らかにすることを目的とした.具体的には,高歪みGaInAs/GaAs量子井戸,あるいはInAs量子ドット構造を用いて,動作波長域を1.2-1.3μm帯まで拡大するとともに,自己形成フォトニック結晶のハイブリッド集積,あるいは金属ナノ構造によるプラズモン結晶構造を付加して,強い偏光依存性とモード選択性を発現させ,高出力・高速動作可能な完全単一モード面発光レーザの実現を目指した. 自己形成フォトニック結晶を面発光レーザの出射部にハイブリッド集積する簡便な偏光制御の手法を提案し,その反射強度の強い偏光依存性を用いて,波長1.2μm帯高歪GaInAs/GaAs面発光レーザの安定な単一偏光動作の実現に成功した.直交偏光抑圧比15dB以上,全駆動電流領域で安定な偏光動作を得た. また,サブ波長構造の金属ナノロッドアレイを用いた面発光レーザの偏光制御手法を提案するとともに,実際にGaAs系面発光レーザへ適用し,そのモード安定性について検討した.金属ナノロッドにおける偏光依存性のある散乱効果により,金属での吸収を抑えながら,偏光制御が可能であることが明らかになった.最大光出力は,約1mW,副モード抑圧比45dB以上,直交偏光抑圧比21dB以上が得られ,ナノロッドアレイを用いることにより,通常GaAs系で用いられる上部出射型構造においても,その偏光制御への有効を実証した.
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