2005 Fiscal Year Annual Research Report
ライフサイクル解析と費用便益分析に基づくバングラディシュにおけるリサイクル新戦略
Project/Area Number |
05F05363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AFROZ Rafia 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ライフサイクルアセスメント / 費用便益分析 / 廃棄物管理 / バングラディシュ / リサイクル / 埋め立て / コンポスト |
Research Abstract |
バングラディシュにおけるリサイクルに対してライフサイクルアセスメント(LCA)と費用便益分析(CBA)を行うことを目的として研究をスタートさせた。準備段階として、バングラデシュの首都ダッカにおける廃棄物管理を対象にこれらの解析手法を用いる際の注意点を検討した。 LCAについては、焼却処理・処分が中心の日本と異なり、埋め立て、コンポスト、メタンとしてのエネルギー利用が中心となることに着目しつつ、また環境負荷の基礎になる排出負荷のデータベースが十分に存在しないことを考慮した上で、どのような計算が可能であるかを検討した。収集段階における輸送の負荷については、わが国のようなごみ収集車による収集と中間処理基地への輸送という形態を取らないため、現地の実態に基づく輸送負荷の算出が必要であることを明らかにした。また、コンポストプロセスについては、わが国用に空気を吹き込むエネルギー消費型のコンポストプロセスではなく自然の堆肥化に近いプロセスの採用が現実に行われており、それを想定した環境負荷の算出を行うことが必要であることを明らかにした。埋め立て地におけるメタンの生成に関する環境負荷については、サンパウロを対象にした花木らの研究の成果を用いることができると判断した。 CBAについては、良好な廃棄物管理でいかなる便益が生じることが想定されるかをまず検討した。日本のように定期的に清掃車でごみが収集される状態にないダッカでは、NGOによる定期的なごみの収集による衛生状態の改善が大きな便益として想定される。また、コンポストの採用により、ごみ埋め立て地でインフォーマルに廃棄物の分別などに不衛生な状態の中で従事するウェイストピッカーと呼ばれる人々の健康状態の改善も期待される。これらの便益を現地の人々の支払い意志額で評価することが可能と判断できる。
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