Research Abstract |
境界層風洞内に開けた田園地帯を想定した地表面粗度区分での気流を作成し,同時多点風圧計測装置により,風圧模型表面の変動圧力を計測した。実験結果は,各高さ毎の風圧分布性状,各点の風圧力のパワースペクトル密度,層風力の高さ方向分布,層風力の風方向成分および風直交方向成分のパワースペクトル密度,各風層力成分の高さ方向の相関などの形で整理,検討された。風直交方向成分層風力のパワースペクトル密度には顕著なピークが見られ,周期的な渦発生が知られた。コニカル部分の風方向層風力成分にも,風直交方向成分と同じ周波数にピークが見られた。渦励振の予測に重要な風直交方向層風力の相関長,渦放出周波数,ストローハルピークのバンド幅等も検討された。乱れの強さが増加するにつれて相関長が大きくなること,レイノルズ数に関係なく,平均的な渦放出周波数はストローハル数St=0.136に相当する周波数であることなどが分かった。渦放出は重なり合うセルの中で発生しており,境界層内では,異なる放出周波数のセルが重なる領域では,ある周波数範囲内に渦放出周波数が分布している。境界層の速度勾配が増加すると,風直交方向層風力スペクトルピークのバンド幅が増加することも分かった。このスペクトルピークのバンド幅は,気流の乱れの強さと風速の鉛直プロファイルに大きく影響されることなどが判明した。風洞の使用状況などから,研究の順番としては最後に実施することとなったが,変動風力に関しても同様に,境界層風洞内に変動風力測定用の模型を設置して,変動風力の計測を行い,高周波風力天秤により,コニカル状タンクを持つ高架水槽模型全体の風方向風力,風直交方向風力,捩りモーメントなどを計測し,風圧模型による結果との対応を調べている。また,汎用数値流体解析ソフトにより,乱流モデルとしてSST k-ωモデルを用いた非定常3次元数値流体解析を行った。コニカル状タンク表面の風圧力,コニカル状タンク周りの流れなどが解析された。コニカル状タンク部分の背面において,大きな変動風圧(rms)が見られた。数値解析によって得られた平均風圧係数は,風上面では実験値と比較的よく合っているが,風下面ではあまり良い一致が見られなかった。また,k-ωモデルと標準対数則を用いた数値解析により,コニカル状タンクを持つ高架水槽周りの複雑な流れの様子をシミュレートし,流れの剥離と側面からの渦生成システムや渦放出の様子,タンク頂部からの流れの剥離の様子などが再現されたが,各高さでの風圧分布などに関してはグリッドの粗さの問題などもあり,実験値との十分な一致を得るには至らなかった。
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