2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタルホイスラー合金を用いた人工ナノ構造における磁気伝導の研究
Project/Area Number |
05F05366
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Hai 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ハーフメタル / ホイスラー合金 / 人工ナノ構造 / スピンエレクトロニクス / 磁気伝導 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
近年ハーフメタルがスピンエレクトロニクスを中心とする工学・理学分野において注目されており、現在世界中で活発な研究が行われている。フルホイスラー合金は、キュリー温度が高いことに加えて、ハーフメタル特性が実験的に確認されているため、特に重要視されている物質系である。本研究では、明瞭なハーフメタル性の発現が期待されるフルホイスラー合金の一つであるCo2MnSiに関して、高品位化および新機能開拓に関する実験を行った。 高品位化に関しては、不純物元素の混入がCo2MnSi薄膜の特性に及ぼす影響を検討した。例としてAuの場合、バッファー層にAuを用いると膜の平坦性が向上し高品位化に有用であるが、Co2MnSi層との間にCr等の拡散防止層を挿入しなければCo2MnSi中に拡散し、磁化の減少を生じることが示唆された。 新機能開拓に関しては、Co2MnSi/Cr/Co2MnSi 3層膜の層間磁気結合の系統的な実験データの取得とその数値シミュレーションを用いた解析により、Co2MnSi/Cr/Co2MnSi 3層膜には180度結合の寄与はほとんどなく、90度結合が支配的であることが分かった。また、その90度結合のエネルギーが180度結合並みに大きいこと、Cr中間層厚に対して振動的に変化し、その振動周期が3.2-3.5nmと長いこと等の特徴も明らかになった。180度結合が生じないことは、コバルト基フルホイスラー合金系のハーフメタルの特徴である可能性があり、ハーフメタルとしての品位を層間磁気結合によって評価できる可能性を示している。
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