2005 Fiscal Year Annual Research Report
一方向凝固セラミック共晶複合材料の1600-2000Kでの破壊メカニズム
Project/Area Number |
05F05367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHA Jianjun 京都大学, 国際融合創造センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 複合材料 / セラミック / 弾性変形 / 塑性変形 / 残留応力 / 破壊 / 脆性-延性遷移 / モデリング |
Research Abstract |
エネルギー・環境問題の緩和には,高効率発電ガスジェネレータや核融合炉の実現が期待されている.その基盤となるのは過酷な環境に耐えられる高温材料の開発と応用である.本研究は最近日本で開発された共晶セラミック複合材料(アルミナ/YAG,アルミナ/GAP)について,室温から2000Kの温度域での変形・破壊メカニズムを明らかにし,もって本材料の実用化・安全設計に向けた具体的指針を得ることを目的とする. 本年度は,これら材料は約2300Kで作製され冷却されるため,構成相間の線膨張係数の差により熱残留応力が存在するが,現在までに熱残留応力を厳密に測定した例はないことから,まずX線法で,残留応力の測定を試みた.試料には(株)宇部興産社製のアルミナ/YAGを用い,測定は受入研究者のX線装置で行った.ブラッグ反射角を高精度に得るため,試料に溝を切りそこにCeO_2およびY_2O_3粉末を入れ,角度補正に用いた.また極点図を作成し,測定に用いるのに適切な面を同定した.さらに,インデンテーション試験により導入したき裂の進展の様相を走査型電子顕微鏡で観察し,アルミナ相,YAG相のいずれが残留引張応力にあるかを同定した. X線回折実験から,アルミナ相には約300MPaの引張,YAG相には約-300MPaの圧縮の熱残留応力が存在することを初めて明らかにした.インデンテーションで導入したクラックがアルミナ相を迂回するように進展し,アルミナからYAGへは直入するようにクラックが進展する観察結果は,X線結果とよく符合している.今後は有限要素法で残留応力の分布を計算し,応力集中部を同定して,破壊基点を明らかにしたい.また,並行して1700-2000Kでの応力-ひずみ曲線の解析も進めていく予定である. 平成17年11月1日に来日,研究を開始してから日が浅く,まだ発表論文はないが,本研究成果は国際会議(International Symposium on Directionally Solidified Eutectics)や日本金属学会で発表を予定している.
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