Research Abstract |
本研究の目的は,不耕起播種のための精密播種方法の確立である。平成18年度においては,ロータリ耕うん機で耕うんした耕起圃場と不耕起圃場を準備し,両圃場における作物生育状況を観察,計測した。栽培した作物は,大豆(品種:ワセミドリ,テイスティ)とビート(品種:スコーネ)である。また,施肥機部分を精密な可変施肥作業が行えるようにシステムを改造した。 1.作物栽培 (1)耕起圃場と比べて,不耕起圃場の方が播種床は不安定要素を持つ。このため,不耕起の方が概して発芽率は良くない。結果では,大豆(ワセミドリ)に対しては有意な差があった。 (2)作物の生育過程では,耕起と不耕起圃場間では大豆,ビートともに外見上明らかな差は観察されなかった。 (3)収穫量に関しては,次の結果を得た。大豆(テイスティ)の収量に有意な差が見られた。耕起に比べ,不耕起は約40%の収穫量であった。しかも,莢内の粒数は,不耕起の方が多いが,粒重が小さかった。つまり,不耕起の場合,小さな粒(豆)がたくさんできるということになる。一方,ビートに関しては,根部の重量と糖度に有意な差が認められた。糖度に関しては,耕起が平均15.5%であったのに対し,不耕起では14.7%であった。 2.可変施肥システム (1)構成 施肥量計測:肥料ホッパーを円筒形にし,肥料の流出量を計測 施肥量制御:肥料繰り出し部の回転数(変速機で制御)を作業速度(車輪回転数をエンコーダで計測)と目標施肥量により可変とさせる。これは,モータで無段変速機の変速比を操作した。 コンピュータ:ワンチップマイコンで,上記の制御を行った。 (2)動作 目標施肥量(例えば,100kg/10a)をコンピュータに入力すれば,作業速度が変化しても,一定の肥料が繰り出される。
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