2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA転写制御に関わる光受容蛋白質の構造変化と分子情報伝達
Project/Area Number |
05F05385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAZRA Partha 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光受容蛋白質 / 反応 / ダイナミクス / 構造変化 / 拡散 |
Research Abstract |
AppAは、光合成細菌の持つ、光によってDNAから蛋白質への発現をコントロールする蛋白質であり、その生理学的な重要性と共に、蛋白質の構造変化と情報伝達という関係で、興味がもたれている。この反応を過渡吸収法で観測すると、光励起により1ナノ秒以内に新しい中間体が生成し、30分で元の状態にもどるフォトサイクルを示すが,これまで構造変化過程が検出されたことはなく、信号伝達機構を考察する上で大きな障害になっていた。この反応ダイナミクスを、レーザー励起の過渡回折格子法を用いて、時間分解観測を行った。この蛋白質は光励起により過渡的なアグリゲーションを起こすことが分かり、この現象のため当初は測定が困難であった。しかし、感度を向上したシステムを作成することにより、非常に弱い光で信号を測定することで、再現性のよい信号を得ることに成功した。この結果、蛋白質を光励起した後に、立ち上がりと減衰を示す特徴的な信号が見られた。種々のグレーティング波数の条件下での測定により、この信号は、蛋白質が光励起により大きな拡散係数変化を起こしたために現れたことがわかった。この拡散係数変化は、蛋白質の構造変化かあるいはその会合過程を表しているものと解釈される。この点について調べるため、拡散係数変化速度の蛋白質濃度依存性を測定したところ、その速度に顕著な濃度依存性が観測された。この依存性を解析することにより、AppAは光励起により、ダイマー生成を起こすと結論された。このように、光吸収で検出できない会合過程を時間分解で観測したのは、初めての成果である。
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