2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA転写制御に関わる光受容蛋白質の構造変化と分子情報伝達
Project/Area Number |
05F05385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAZRA Partha 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光センサー / タンパク質反応 / 拡散係数 / 熱力学量 |
Research Abstract |
光によってDNAから蛋白質への発現をコントロールする、センサータンパク質の代表であるAppAと呼ばれる光合成細菌の持つタンパク質の光化学反応を、時間分解で調べた。この反応を過渡吸収法で観測すると、光励起により1ナノ秒以内に新しい中間体が生成し、30分で元の状態にもどるフォトサイクルを示すが、これまで構造変化過程が検出されたことはなく、信号伝達機構を考察する上で大きな障害になっていた。この反応ダイナミクスを、時間分解拡散係数測定法で検討した。光励起による過渡的なアグリゲーション生成を抑えるための非常に弱い励起光で信号を測定することで、光励起によって拡散係数変化を示すことが明らかとなった。この拡散係数変化速度のタンパク質濃度依存性実験により、ダイマー生成が主な反応過程であることが結論された。このダイマー化形成速度を明確に決定することに成功したことは、このタンパク質の研究において非常に新しい展開をもたらすであろう。更に、このダイマー形成がどういう分子論的機構によるのかを検討するため、熱力学量の測定を時間分解で試みた。その結果、中間体のエネルギーは光センサータンパク質とあw)0オては非常に小さい値を持つことがわかった。このように、光吸収で検出できない会合過程における熱力学量を時間分解で観測したのは、初めての成果である。
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