2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ物質の構造と励起状態ダイナミクスの時間分解顕微分光による研究
Project/Area Number |
05F05390
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANDAL Abhijit 関西学院大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子ドット / CdTe / 単一微粒子分光 / トレハロース / オージェ再結合 / 発光明滅現象 |
Research Abstract |
CdTe量子ドットの励起子緩和過程と単一量子ドットに関する研究はほとんど行われていない。本研究では,コロイド化学的に水溶液法によりCdTe量子ドットを合成し、励起子緩和過程を解明すること、さらに単一量子ドット発光を観測し、その発光強度がマトリクスや励起光強度にどのような影響を受けるのか調べることを目的とした。CdTe量子ドットのサイズは、水溶液中で還流時間を変えることにより制御した。合成したCdTe量子ドットの単一微粒子分光において,励起光としてピコ秒Nd: YLFレーザーの第2高調波(524nm)を用い,高感度CCDを検出器として用いた。また対物レンズで焦点をずらすことにより,試料の広い領域を励起した。用いた試料は,希薄濃度のCdTe量子ドット(10^<-8>M〜10^<-10>M)とポリビニルアルコール(PVA),またはトレハロースを混合した溶液からスピンコート法により作製した薄膜である。 単一微粒子分光の結果,試料濃度が薄い場合には,発光明滅現象を示した。これは単一の分子や量子ドット特有の性質であり、測定対象が量子ドット1個であることを示している。PVAとトレハロースをマトリクスとして用いた場合の発光強度変化を比較すると、トレハロースを用いた場合の方がPVAを用いた場合よりも、一回に発光している時間(on-Time)が長かった。この原因については明確に断定することができないが、おそらく量子ドットとマトリクスでの相互作用の強さに起因するのではないかと考えられる。薄膜状態での発光寿命を比較したところ、トレハロースを用いた方が寿命が長くなっていたことからもトレハロースの方がCdTe量子ドットの安定化に優位に働くことが示された。また励起光強度を強くするとon-Timeが短くなった。これは高強度の励起光によって生じるオージェ再結合により量子ドットがイオン化する確率ないし電子が表面欠陥に捕縛される確率が高くなるためと考えられる。
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