2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵素機能の発現を志向するデンドリマー固定化触媒の開発
Project/Area Number |
05F05391
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAJRACHARYA Gan Bahadur 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 超酵素 / デンドリマー / 固定化 / ウレアーゼ |
Research Abstract |
天然の酵素機能を人工の高分子によって再現し、さらに天然酵素を凌駕する高い機能を持った人工酵素を創出することは、触媒化学や超分子化学の分野で最もチャレンジングなテーマの一つである。これまでに、デンドリマーを利用した人工酵素の開発が幾つかの研究グループによって試みられているが、触媒活性が低下する例が少なくない。我々は、様々なアミノ酸残基が協調して基質を活性化する酵素独特の作用機序に類似した反応活性化機構を持つ多点制御型不斉低分子触媒の開発に成功している。本研究では、多点制御型低分子触媒の概念を高分子系へと拡張し、枝分かれしたデンドリマー構造の特徴を活用して、複数の官能基が協調して働きうるように活性部位を分子設計した人工酵素の開発を行うことが目的である。 今年度は、尿素の加水分解を促進するウレアーゼ活性を持つデンドロン担持触媒を目指し、その活性部位となる複核ニッケル錯体の合成について検討した。ニッケルへの配位部位としてイミダゾールに注目し、1,2,3,4-テトラ(ブロモメチル)ベンゼンとイミダゾールとの反応で、1,2,3,4-テトラ(イミダゾリル)ベンゼンを合成した。次に、過塩素酸ニッケル(II)を反応させて、複核ニッケル錯体の合成を試みたが、生成物の溶解度が低く生成物の同定には至らなかった。そこで、4-フェニルイミダゾールを用いて同様の配位子合成を行い、過塩素酸ニッケル(II)と反応させた結果、有機溶媒に可溶な複核ニッケル錯体を合成することができ、各種スペクトルにより構造を決定した。また、このニッケル錯体が尿素の加水分解を促進することを確認した。今後、複核ニッケル錯体の合成法の改良やイミダゾール上の置換基効果について検討すると共に、デンドロンの導入による高分子化についても取り組む予定である。
|