2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵素機能の発現を志向するデンドリマー固定化触媒の開発
Project/Area Number |
05F05391
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAN Bahadur Bajracharya 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 不斉合成 / 触媒 / パラジウム / 環化反応 |
Research Abstract |
天然の酵素のように、高い活性と選択性を兼ね備えた触媒の開発は、有機合成化学者の長年の目標であり、多くの検討が行われている。合成高分子を利用した人工酵素の報告例はあるが、これまで活性が低いことが最大の問題であった。本課題では、従来代表者らが研究してきた多点制御機構によって反応を促進する不斉触媒の研究を通じて蓄積した知見を活用して、活性部位を緻密にデザインした人工酵素型高分子触媒の創出を目的として、研究を推進している。今年度は、合成高分子に固定化する触媒分子のデザインを再検討する目的で、スピロ骨格を有する不斉配位子SPRIXを利用したPd触媒による不斉Wacker型環化反応について調べた。 3-ヘキセン酸誘導体を10mol%の酢酸パラジウム、10mol%の(P, R, R)-i-Pr-SPRIXと2当量のベンゾキノン存在下、塩化エチレン中30℃で反応させると、オレフィン部位へのカルボキシ基の分子内求核攻撃が起こり、γ-ブテノライドを収率89%,57%eeで単離することができた。本反応は様々なγ-ブテン酸誘導体に適応でき、対応するγ-ブテノライド誘導体が高収率且つ中程度のエナンチオ選択性で得られた。一方、γ-ブテン酸アミドを基質に用いても同様の不斉環化反応が進行し、中程度の光学純度を有する2-ピロリノンをほぼ定量的に与えた。本反応では、アミド窒素上の置換基が極めて重要であり、トシル基の場合には定量的な反応が進行するのに対して、ベンジル基の場合には全く反応が進行しなかった。両触媒反応の不斉配位子としてはSPRIXのみが有効であり、他の不斉窒素或いはリン配位子を用いた場合には、全く反応が起こらなかった。
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Research Products
(1 results)