2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05392
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 Kyoto University, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Jie-Peng 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 配位高分子 / 多孔構造 / 相互貫入 / ガス吸着 / 構造変化 / ゲスト選択性 |
Research Abstract |
配位子を設計することで構造的要因から、構造柔軟性を有し、Ag(I)及びCu(I)が細孔表面に露出した多孔性金属錯体を合成することは可能であり、その配位子として、3,3',5,5'-Tetramethy1-4,4'-bipyrazole(H2bpz)を選択した。同一の組成式[M(bpz)M=Ag, Cu]で表される、全体的な配位構造と相互貫入の度合いが異なる2種類の多孔性金属錯体(1)及び(2)を合成した。8重に相互貫入し、細孔の多くがつぶされた構造をした(1)は約10%の空間を有している。(1)Ag及び(1)Cuはそれぞれ350℃と500℃で崩壞し、高い熱安定性を有していることを確認した。気体吸着測定を行うことで(1)の構造柔軟性と細孔特性を確認した。(2)は4重に相互貫入した構造を形成しており、約30%の二重に相互貫入したチャンネルを有している。(2)Ag及び(2)Cuもそれぞれ300℃、500℃で崩壊し、高い熱安定性を有している。これらは光や水、空気に対しても安定であり、構成要素を混ぜるだけで用意にかつ大量に合成することが可能である。 単結晶におけるゲストの吸脱着を観測することで(2)Agのもつ特出した構造柔軟性を詳細に確認した。(2)Agにおけるチャンネルの最小径は3.4Åと比較的小さいにもかかわらず、ベンゼンやトルエンといった大きな分子を吸着し、同時に単結晶-単結晶相転移を引き起こすことを確認した。このときある細孔は拡大し、その他は縮小するという構造変化を起こしており、非化学量論的に取り込まれた分子は露出したAgと弱い相互作用を形成していることを見出した。(Angew. Chem. Int. Ed, 2007, 46, 889.)さらに詳細に単結晶におけるゲスト吸脱着過程を観測すると、可逆的なかつ段階的な構造のひずみが観測され(2)の非常に高い柔軟性が確認できた。 これらの化合物の持つ構造柔軟性は気体吸着測定においても確認することができる。(1)はチャンネル構造を持たず、独立した空孔が並んでいる構造を有しているが、構造変化を引き起こすことによって二酸化炭素、窒素、酸素を吸着そることが可能である。さらに(2)は結晶構造から予想される気体分子の吸着量を超える吸着現象が確認され、吸着過程において構造の部分的再配列と拡大が起きていることが示唆される。 これらの化合物における不飽和炭化水素化合物に対する選択的吸着特性を検討するためにアセチレンと二酸化炭素に関する吸着特性の違いを比較した。アセチレンと二酸化炭素は形状や物理的性質が似通っており、(1)や(2)の不飽和金属部位の効果を評価するうえで最も適している。それぞれの吸着量と吸着エンタルピーを比較した結果いくつかの相違点が確認され、それは金属とアセチレンのπ電子との交互作用が大きな役割を担っていることが示唆された。(J. Am. Chem. Soc. accepted)
|
Research Products
(4 results)