2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化原因物質,酸化型イソプロスタン含有ホスホコリン類の合成と応用
Project/Area Number |
05F05396
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ACHARYA Hukum Prsad 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 動脈硬化 / 酸化LDL / イソプロスタン / エポキシイソプロスタン / ホスホコリン / 五員環モノアセテート / リゾ・ホスホコリン / Grignard試薬 |
Research Abstract |
最近,動脈硬化の原因となっている酸化LDL(LDL=Low Density Lipoprotein)の構造解析が進み,このものは酸化型イソプロスタン(イソプロスタン=アラキドン酸が酸化され,かつ五員環を形成したカルボン酸)をsn-2位にもつホスホコリンであることが明らかになった。現在,8種類の構造類似体が単離されており、今後この分野の研究を推進するためにはこれらを1つずつきちんと合成する方法の開発が必要である。 我々研究室では4-cyclopentene-1,3-diol monoacetate(以下,五員環モノアセテート)に注目し,これに炭素アニオンをSN2ないしanti SN2'様式で効率よく導入する試薬を開発している。そこでこの五員環モノアセテートから以下の方法に従って,五員環部分がPGA2タイプの2-(5,6-エポキシイソプロスタンA_2)ホスホコリンの合成を完成させた。最初の反応はPd触媒を用いるマロン酸エステルとの反応。そして、この反応生成物からキー・エノンを合成し,これにエポキシアルデヒドを、アルドール反応を用いて連結し,最後にリゾ・ホネホコリンを縮合して目的化合物を得た。 この手法を位置異性体の合成に応用する際,カルボキシル基(CO_2H)等価体が必要であった。しかも,最終生成物が酸に弱いビニルエポキシ基を有しているため,カルボキシル基等価体中性に近い条件でCO_2Hに戻す必要があった。私は,CH_2OPMB(PMB=CH_2C_6H_4OMe)を選んだ。その結果、骨格合成は問題なく行うことができた。また,中性に近い条件でCO_2Hに戻す方法を見いだし,(14,15-エポキシイソプロスタンA_2)ホスホコリンを合成できた。 続いて,五員環部分がPGE2タイプの2-(5,6-エポキシイソプロスタンE_2)ホスホコリンの合成行った。この化合物はPGA2タイプと異なるため新しいルートを開発する必要があった。そこで,モノアセテートとGrignard試薬とのanti SN2'型反応生成物に注目し,この生成物のブロモヒドリン化反応を手がかりにしてイソプロスタンA_2の骨格合成までを完成させた。
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Research Products
(5 results)