2006 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン-ポルフィリン分子系を利用するナノ構造人工光合成モデル
Project/Area Number |
05F05401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 攻 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMED El-Sayed El-Khouly 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | フラーレン / 光誘起電荷分離 |
Research Abstract |
フラーレンを電子受容体として用いる光誘起電子移動反応の研究を推進する上で、フラーレンの有機熔媒への不溶性の克服が必要不可欠である。一般に、フラーレンへと置換揆を誘導することで有機溶媒への可溶性は向上するが、電子受容能の観点からは、置換揆を導入すると不利である。一方、対称性よく置換揆を導入する事でフラーレンの可視吸収スペクトルが大きく変化しうる事がL.Y.Chiangらにより明らかとされ、彼らとの共同研究からこの多置換フラーレンの電子移動挙動を過渡吸収法から明らかとすると共に、励起三重項状態についての知見も得た。電子ドナーとしてフタロシアニンを用いた場合、極性溶媒中、フタロシアニンの励起三重項状態からの電子移動が進行した。 一方、pyrazolino基によりフラーレンと電子ドナーを結合した分子の光誘起電荷分離を詳細に検討した。Pyrazolino基を有する場合、電荷分離か高効率で進行した。また、pyrazolino基を有する場合、電荷分離状態を示すスペクトルが非常にブロードになり、このことはpyrazolino基と電子ドナーがらなるπ共役系にホールが非局在するためだと結論された。従って、pyrazolino基自身も電子ドナーとして機能しうる事が判明した。 また、サンドイツチ化合物として有名なメタロセン類は中心金属のredoxを反映したredox activeな化合物として知られており、特にフェロセンは分子内電荷分離系でのホール補足分子として有用である事が判明している。一方で、中心金属がルテニウムであるルテノセンはredox activeではあるが、電荷分離系に組み込まれた場合の挙動が不明であった。そこで、ルテノセンとフラーレンを結合した電荷分離系の検討をおこなったところ、高速の電荷分離が観測された。
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Research Products
(5 results)