2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルブミン-ヘムのヘムポケット構造制御による安定酸素錯体の構築
Project/Area Number |
05F05404
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
濱 義昌 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LU Gang 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 蛋白質 / アルブミン-ヘム / ヘムポケット / 酸素錯体 / 近位塩基 / 酸素輸送材料 / ナノチューブ / 電子顕微鏡観察 |
Research Abstract |
本研究は、単純蛋白質であるヒト血清アルブミンに所望のアミノ酸配列を有するナノ空間を構築し、その内部へ取り込ませたヘムの酸素結合反応の解析から、空間構造と酸素配位能の相関を詳細に解明、酸素輸送人工ヘム蛋白質を創製することを目的としている。さらに、溶液系のみならず固相系へも展開し、新しい酸素輸送材料としての可能性を探索、評価する。 1.アルブミン-ヘム錯体の軸配位構造と酸素結合能の解析 初年度に合成したアルブミンを用いて、安定度高いアルブミン-ヘム錯体の調製法を確立。可視吸収スペクトル測定から、中心鉄の軸配位構造を解析し、導入His残基の配位を確認した。酸素結合定数(酸素親和度)、酸素結合解離速度定数の測定から、ヘム蛋白質としての機能を評価。酸素結合反応の詳細をナノポケットの空間構造と相関させて明らかにした。 2.アルブミン-ヘム薄膜の合成と酸素結合能 アルブミン-ヘムの分子表面にポリ(エチレングリコール)(PEG)鎖を共有結合で導入したPEG修飾アルブミン-ヘムをガラス基板上で乾燥させると、均一薄膜ができることを見出した。この薄膜も可逆的に酸素を結合解離できる。酸素錯体の半減期(40hr)は水中より長く、酸素結合フィルムとしての医療領域での応用が期待される。 3.アルブミン-ヘムナノチューブの酸素結合能 合成ヘムを包接したアルブミン-ヘムナノチューブが酸素を吸脱着できることを見出したので、その酸素結合能の詳細を明らかにした。また、透過電子顕微鏡観察による構造解析に初めて成功した。 現在、上記成果について、2報の論文を作成し、海外学会誌に投稿中である。
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