2006 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾したマリン多糖のバイオメディカル分野への利用
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05F05405
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田村 裕 関西大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAYAKUMAR R 関西大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | キチン / キトサン / カルボキシメチルキトサン / 生体適合性 / 生分解性 / アパタイト / シラン化 / 疑似体液 |
Research Abstract |
キチンやキトサンは生分解性、生体適合性に富むためバイオメディカル分野への応用が期待されている。中でもキチンは理想的な生体適合性物質であるが、一般の溶媒に不溶であるため効果的な利用法が提案されていないのが現状である。本研究では、キチンやキトサンの溶解特性をコントロールすると共に、糖鎖認識能、抗血栓性などを実現させたバイオマテリアルを創製することを大きな目的とし、キチンやキトサンが有する反応性に富む多くの水酸基やアミノ基を基点にカルボキシメチル化やシラン化などの化学修飾を行った。これらはカルシウムとの親和性に優れているので、まずこれらをゲル化させてスカフォールドとし疑似体液中に浸漬してアパタイトの析出状況を観察した。いずれの場合においても浸漬時間に応じてアパタイト様物質の析出が観察され、特にカルボキシメチル化キトサンにおいては優れていた。これらの結果より、骨再生スカッフォールドとしての応用が期待される。 以上に加えて抗血液凝固性を示すと報告されている硫酸化されたキチン・キトサンの合成を行った。今回はキチン及びキトサンの基質としてキチン、キトサンのみならずそれらのカルボキシメチル化誘導体についても検討した。カルボキシメチル化誘導体の場合はアミノエチルスルフォンをカルボジイミド存在下縮合反応させて6位に硫酸基を導入した。本方法は従来法に比べて穏和な条件下で行えるので、分子量低下を抑えることが可能である。また、硫酸化試薬の量をコントロールすることで硫酸化度を自由に調節することもできたことより、本硫酸化キチン合成法は非常に有用な方法であることが示された。以上のようにして得られた硫酸化キチンはカルシウムイオン捕捉性や抗擬凝血作用が予想されるのでそれら諸性質を今後検討していく必要がある。
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Research Products
(3 results)