Research Abstract |
平成17年度は,主として対象物質の選定および分析方法の確立,および文献調査による上水道での農薬など親水性化合物の除去の実態についての調査を行い,活性炭吸着法,生物活性炭法,その膜分離との組合わせ法,オゾン処理などについて,農薬などlog Kowが4以下の物質に対する除去の傾向や生分解性の特徴に関する資料収集を行い,水環境学会誌2006年4月号に掲載予定の総説としてまとめた。また,実験研究として,粒状活性炭リアクターにおいて,医薬品の吸着処理実験を65日間連続通水し行った。原水には10種類の医薬品起源化学物質を添加した。どの物質も最初の5日間はほぼ100%除去されていたが,それ以降,徐々に活性炭が医薬品で飽和され除去率は低下した。通水速度を低下させること,原水pHを低下させること,ろ層の逆洗浄を行うことは、いずれも除去率を上昇させ,それぞれ,活性炭塔内の物質輸送,医薬品のイオンへの解離,活性炭の未使用表面の露出により,理論的に説明ができた。さらに,活性炭吸着と生物処理との組み合わせの検討を行うため,実際の浄水場で使用の生物活性炭層から微生物の付着した活性炭を採取し,新炭との除去率の比較実験を行い新炭と生物活性炭との微生物叢の活性炭が医薬品で飽和していく過程での変化を調べた。その結果,生物活性炭による医薬品の除去効率は,新炭の場合よりも小さく生物処理効果が小さいことが明らかになった。また,分析法の確立としては,鎮痛剤,抗てんかん剤などに関する誘導体化GC/MS法による分析方法を確認,確実化させるとともに,一部の化合物について,高速液体クロマトグラフ法による測定法の確立を行い,生物処理過程の解析への応用性を検討し,良好な結果を得た。
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