2006 Fiscal Year Annual Research Report
スクアレン及びオキシドスクアレン環化酵素研究と非天然型トリテルペンの創製
Project/Area Number |
05F05429
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星野 力 新潟大学, 自然科学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHENG Jun 新潟大学, 自然科学系, 外国人特別研究員
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Keywords | スクアレン / トリテルペン / トリテルペン環化酵素 / ホペン / Alicyclobacillus acidocladarius |
Research Abstract |
トリテルペンは医薬品などの原料として使われており、様々な生理機能物質でもある。トリテルペンはスクアレンを共通の基質として環化酵素により様々な環状骨格を形成する。その骨格は100種類以上現在見いだされている。それぞれの環化酵素の微細な構造上の差異が様々なトリテルペンの多様性を生み出していると考えられている。本研究では、トリテルペンの共通基質であるスクアレンの基質認識機構の解明とともに、非天然型テルペンの創製を目的として行った。酵素として、Alicyclobacillus acidocladarius由来のホペン環化酵素(SHC)を用い、末端にビニル基をもつ基質アナログC_<33>を合成し6環性テルペンの創製を目指した。スクアレンを出発原料として、セレン酸化で末端メチル基を水酸化し、PBr_3でプロム体を得た。ベンゼンスルフィン酸Naを用いてベンゼンスルフォン体にし、ブチルリチウムでそのスルフォン体のα位をアニオン化した。そこにビニルブロマイドを添加し、C_<33>のベンゼンスルフォン体を得た。その後、スーパーハイドライドで脱スルフォン化し、目的化合物を合成した(収率585mg、通算収率約3%)。スクアレン環化酵素産物のGC分析で数多くのピークを検出した。環化率は高く約97%であった。今年度更に合成し、約1gのC_<33>基質アナログを合成した。大量培養により酵素を調製、酵素反応を行い、SiO_2カラム、5%AgNO_3-SiO_2カラム及びHPLCにより全酵素産物計18個を単離し、NMRで構造を確定した。単環性から5環性化合物と幅広い分布を示した。中でも3環性が38%、4環性が47%を示し,5環性は極微量であった。このことは、スクアレンよりもビニル基が多いC_<33>は酵素キャビテーに入りきらず、正常なフォールデングがとれないことを明確に示している。最近、C_<35>アナログがSHCにより、6/6/6/6/6/5-環系のテルペンが生成するという報告があるが、その論文は間違いであることを更に裏付ける結果を得た。本研究の成果を日本農芸化学会(2007年3月)で発表した。
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