2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05436
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇野 公之 Osaka University, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAJAMANICKAM Vijayalakshm 大阪大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | シトクロムP450 / 薬物代謝 / 一塩基多型 |
Research Abstract |
ヒトゲノムの数百塩基に1つの割合で出現するSNP(一塩基多型)が、病気のかかりやすさや薬剤の効き方を含めた、ヒトの個性を決定している。シトクロムP450(CYP)は薬物代謝の中心的役割を演じる酵素であるが、CYP遺伝子のSNPにより薬物の代謝能が低下する結果、常用量の投与によりクスリが効きすぎて副作用が現れるようになる。SNPと薬物代謝との相関は従来より薬学研究者の注目を集めてきたが、CYPは精製が難しい上に多くのサブタイプが存在するため、各CYPがどの薬物に特異性を持つのか同定することがきわめて困難である。そこで本研究では、各種薬物に対する認識や酵素活性がSNPによって受ける影響を網羅的に解析することによって、副作用の少ない薬剤投与設計指針を確立することを目的とした。今年度においては、市販薬物の約半分の代謝に関わると考えられているCYP3A4について研究を進めた。前年度までに確立した培養条件や精製法を用い、高純度のCYP3A4を大量に得ることに成功した。微量平衡透析法を用いることにより、各種薬物の解離定数を測定することができた。また、HPLCを用いて、これら薬物に対する代謝活性を測定することができた。さらに、共鳴ラマンスペクトルを測定することにより、CYP3A4の活性中心に含まれるヘムの大部分は水が配位した6配位型をとるものの、水がはずれた5配位型が混在することを見出した。あわせてCO結合型のスペクトルを解析した結果、薬物はヘムのごく近傍に結合することがわかった。以上の結果より、CYP3A4はCYP2C9に比べてより疎水的な薬物結合環境を持つことが明らかとなった。
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