2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05436
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇野 公之 大阪大学, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAJAMANICKAM Vijayalakshmi 大阪大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | シトクロムP450 / 薬物代謝 / 一塩基多型 |
Research Abstract |
ヒトゲノムの数百塩基に1つの割合で出現するSNP(一塩基多型)が、病気のかかりやすさや薬剤の効き方を含めた、ヒトの個性を決定している。シトクロムP450(CYP)は薬物代謝の中心的役割を演じる酵素であるが、CYP遺伝子のSNPにより薬物の代謝能が低下する結果、常用量の投与によりクスリが効きすぎて副作用が現れるようになる。SNPと薬物代謝との相関は従来より薬学研究者の注目を集めてきたが、CYPは精製が難しい上に多くのサブタイプが存在するため、各CYPがどの薬物に特異性を持つのか同定することがきわめて困難である。そこで本研究では、各種薬物に対する認識や酵素活性がSNPによって受ける影響を網羅的に解析することによって、副作用の少ない薬剤投与設計指針を確立することを目的とした。今年度においては市販薬物の約半分の代謝に関わると考えられているCYP3A4について研究を進めた。遺伝子全合成の手法により大腸菌での高発現に最適化した遺伝子を作成し、培養条件や精製法を確立した。精製過程の初期段階でCYP3A4の基質となるエリスロマイシンを添加することでタンパク質が安定化し、高純度に精製されたCYP3A4を大量に得ることに成功した。微量平衡透析法を用いることにより、各種薬物の解離定数を測定することができた。また、HPLCを用いて、これら薬物に対する代謝活性を測定することができた。これら薬物の中にはCYP2C9や2C19といったCYPで代謝されるものも含まれ、薬物の交差反応性を明らかにすることができた。
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