2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05444
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
加藤 昌志 中部大学, 生命健康科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN M.K. 中部大学, 生命健康科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 重金属 / 予防 / シグナル伝達分子 / 国際協力 / 環境 |
Research Abstract |
バングラデシュの飲用地下水のヒ素汚染は国際的に最も注目されている環境問題である。現在同国の数千万人の慢性ヒ素中毒患者に、すさまじい勢いで癌が増加している。しかし、ヒ素が発癌を誘導する機序はほとんど不明で、適切な予防・治療方法はないのが現状である。 受入研究者は、外国人研究員と共同で、ヒ素等の環境因子が癌遺伝子をはじめとするシグナル伝達分子を活性化するかどうかについて調べた。その結果、ヒ素がチロシンキナーゼの活性を促進することがわかった。さらに興味深いことに、ヒ素により誘導されたチロシンキナーゼの活性を著しく抑制する薬物を見つけた。この薬物はヒ素により誘導される細胞の形質転換を有意に抑制した。現在、薬物の作用機序を解析している。これらの研究成果は、この薬物がヒ素誘発癌の発症予防に有効である可能性を示している。そこで、動物実験を経て、この薬物のヒトでの有効性を調べる予定である。その準備段階として、受入れ研究者は、外国人研究員及びバングラデシュにおける研究協力者とともに、現地で飲用の井戸水を採取し、ヒ素濃度を測定した。これにより、高度〜軽度汚染地域を特定した。さらに、ヒト検体を用いた研究に進む事ができるように、倫理委員会への申請準備を日本とバングラデシュにおいて進めている。同時に、外国人研究員の従兄弟が主宰するバングラデシュのNGOと連絡をとり、協力関係を構築した。日本においても、アジア地域でヒ素誘発癌の予防等の活動を実践するためのNPOを立ち上げる準備を進めている。
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