2005 Fiscal Year Annual Research Report
空間構造モデルによる寄主-寄生者系の進化と種分化に対する遺伝子流動の影響の解析
Project/Area Number |
05F05448
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TELSCHOW Arndt 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 種分化 / 遺伝子流動 / 生物多様性 / ボルバキア / 空間モデル / 細胞質不和合性 / 形質強化 / 寄主-寄生者 |
Research Abstract |
寄主の種分化に対する寄主の繁殖に影響を与える細胞内共生微生物ボルバキアの役割を理論的に検討した。中心になる大きな集団から周辺部に小集団が生じたときに、種分化が起きやすいことは周辺種分化(Peripatric Speciation)として広く知られている。今回の研究では、まず、周辺集団にオスの形質に適応進化が起こる状況を想定する。さらに、オスの遺伝子座とメスのそれに対する好みの遺伝子座の共進化(性淘汰として知られている)に、ボルバキアの感染を遺伝的相違として導入したモデルを構成した。中央集団がボルバキアに感染していて周辺集団がボルボキアの感染から逃れたとき、中央集団から周辺集団への遺伝子流動が妨げられるようなメスの行動レベルの進化が起きることが確かめられた。それは、ボルバキア感染オスとボルバキア未感染メスの子の誕生率が低下するため、周辺集団のメスが中央集団からの移動オスを避けることが有利だからである。このような淘汰圧が長期的に維持されるためには、中央集団がボルバキア感染集団で周辺集団では多くの個体が未感染個体であるというパターンが維持される必要があり、そのためにはボルバキアによる誕生率低下の程度が低いことが必要であることが分かった。この研究によって、いくつかの条件が必要であるけれども、ボルバキアは寄主の周辺種分化を大きく促進する要因であることが分かった。多くの結果は、有効分散率(Effective Dispersal Rate)の概念を使って解析的に求めることができたがコンピューターによるシミレイションも補完的に使った。
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Research Products
(1 results)