2006 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナとタバコの突然変異体を用いた葉内CO_2拡散抵抗の実態の追求
Project/Area Number |
05F05450
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺島 一郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THOLEN Daniel J. 東京大学, 大学院理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光合成 / 二酸化炭素 / 葉 / 安定同位体 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
さかんに光合成を行っているC_3葉内部のCO_2濃度は,大気中の濃度よりも低く,その濃度勾配にしたがってCO_2が拡散する。大気から気孔を経て気孔腔に達したCO_2はさらに細胞間隙を拡散し,細胞壁のアポプラスト水に溶解する。その後,細胞壁,細胞膜,細胞質,葉緑体包膜を透過して,葉緑体ストロマに達し,そこでrubiscoによって固定される。近年,細胞間隙から葉緑体ストロマまでの拡散コンダクタンスについての研究が進んだ。この抵抗をもっとも正確に求めるには,ストロマにおいてCO_2を固定する酵素,rubiscoが同位体分別をすることを利用する。葉を同化箱に入れてCO_2交換速度を測定すると同時に,同化箱に入る空気と出て来る空気のCO_2を採取して同位体比を測定すると,葉緑体内部のCO_2濃度,細胞間隙から葉緑体までのCO_2拡散抵抗が計算できる。この方法をシロイヌナズナに適用した研究はまだなく,CO_2拡散に影響を及ぼす可能性のある多くの突然変異体も利用されていない。 昨年度の予備実験に基づいて製作した,厚さ16mm,80mm四方の真鍮製チェンバーを駆使し,測定条件を検討した結果,シロイヌナズナにおいて拡散コンダクタンスの安定した測定に世界で初めて成功した。また,単色光の影響,葉緑体を細胞膜にアンカーすることが知られているアクチンの重合阻害剤の影響も調べた。アクチンが破壊されるとコンダクタンスが減少した。これらの結果を2007年3月に行われた日本植物生理学会で発表した。
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