2006 Fiscal Year Annual Research Report
「分子ものさし」 を用いた核内微環境の定量的解析手法の構築と細胞生物学への応用
Project/Area Number |
05F05456
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金城 政孝 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PACK Changi 北海道大学, 電子科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | タンデム型EGFP / 分子ものさし / 蛍光相関分光法 / 蛋白質動態 / 生細胞 / 核質 / 核小体 / 微環境 |
Research Abstract |
細胞核内微環境を知るため拡散運動の指標となる"分子ものさし"としての四種類のタンデム型EGFPを構築し、分子ものさしの動き易さから核質と核小体内の微環境とその生体エネルギー依存性を解析した。 1.分子ものさしは溶液中だけではなく細胞質、核質、及び核小体内においても長さに依存して棒状分子のように拡散していることが明らかとなった。これらの結果は生理的に相互作用する分子を持たない蛋白質の細胞内動態はハイドロダイナミクなパラメータによって決定されており、それに対して相手分子と相互作用したりすることによって蛋白質の動態は大きく変化し得ることを示唆する。また蛋白質のそれぞれの機能や局在場所によっては相互作用が変わり得ることから、蛋白質動態と機能を関連付けられることが期待できる。 2.細胞質と核質はその構成成分や構造が大きく異なるにも関わらず、その見かけ上の粘性はほぼ同じで溶液に比べ3.5倍高いことが明らかとなった。それに対して核小体内の粘性は核質に比べて大きく異なり、溶液に比べて15倍高いもののタンデム型EGFPは比較的速い速度で核小体内を拡散していることが分かった。 3.細胞をactinomycin Dで処理し核小体に主に局在するRNAポリメラーゼI活性を阻害すると核小体内における分子ものさしの遅い動態が無くなった。それに対して核質においては大きな変化が見られなかった。これらの結果から核小体内の見掛け上の粘性を高くしている原因はrRNA転写に関係していることが示唆された。 細胞のATPを枯渇させた場合、細胞質と核質においての分子ものさしの動態は殆ど変化しなかったことに対して核小体内における動態は大きく変わりさらに遅くなった。これらの結果から核小体内の微環境は細胞質や核質とは大きく異なり細胞内のエネルギー状態に大きく依存していることが示された。
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