2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の形成を通した地域のエンパワーメント:持続的農業の役割
Project/Area Number |
05F05475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山尾 政博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN MD Hammadur 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 参加型資源管理制度 / 生計向上戦略 / 社会認知 / 制度的枠組み |
Research Abstract |
本年度後半に研究を開始し、次の2点を中心に研究を進めた。第1に、農漁村開発におけるソーシャル・キャピタルに関する先行研究のサーベイを通じて、この分野の論点整理を行った。所属する研究室が手がけている住民参加型の資源管理に関連して、それを可能にする社会的制度について調べた。これまで住民参加型の地域資源管理に関する議論は、住民が行う経済行為がもつ独自性や資源がもつ特有性に配慮したものが多く、それを可能にする地域社会の制度的枠組みがもつ普遍性をあまり問題にしてこなかった。地域システムのひとつとして機能させるための諸制度をどう整えるかを議論しておく必要がある。第2に、フィリピン・パナイ島のバナテ地区において、住民の生計向上への努力がいかなる社会戦略のもとで実施されているか、実態調査を行った。同地区の沿岸域は典型的な漁業集落であり、住民の多くが沿岸零細漁業に従事しており、経済的にも社会的にも水産資源の利用に依存している。現在、所属する研究室ではこの地域において、沿岸域資源の持続的な利用を可能にする諸条件及び諸制度を明らかにするために、さまざまな角度から実態調査を行い、収集した資料の分析を進めている。それと共同する形で、主に参加型の生計戦略がどのように形づくられ、実践に移されているかを検証することにした。沿岸域資源に過度に依存した社会構造を是正するには、生計向上戦略が資源管理システムのなかに組み込まれている必要がある。今年度は、漁村住民の多くが参加する生計向上プロジェクトについて調査を行った。持続的資源利用という社会目標のもとに生計向上が有効な戦略として社会的に認知されるにいたる過程、外部からの支援を受けて具体的なプロジェクトとして実行に移されるまでの過程について、検証した。
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Research Products
(1 results)