2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の形成を通した地域のエンパワーメント:持続的農業の役割
Project/Area Number |
05F05475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山尾 政博 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN MD.Hammadur 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 有機農業 / 慣行農業 / 規範 / 信頼 / 社会的ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は,アジア開発途上国における地域農業資源の持続的利用と保全をめぐる諸課題を,農業地域社会における社会資本の形成とそれを通じて実現される地域のエンパワーメントを軸に検討することにある。ソーシャル・キャピタルは持続的資源利用を可能にする内的システムのひとつである。本年度は,前年度に引き続いて先行研究の整理を行いながら,環境に負荷をかけない有機農業に取り組む農業生産者とコミュニティーの調査を,ソーシャル・キャピタルに焦点をあてながら実施した。 第1には,日本の事例として東広島市周辺及び千葉県の有機農業を対象に実態調査を行った。日本では,有機農業を持続させるための集団的ネットワークの形成が諸外国に比べて予想以上に弱いことが観察された。住民参加型の農業資源管理を構築・維持していくためのシステムは機能しているが,集落や地域単位での有機農業の展開には課題を残している。 第2には,バングラディシュの農村において,ソーシャル・キャピタルが有機農業の地域的広がりにどのように貢献しているかを検証した。社会的ネットワーク,規範,信頼という三つの事柄について,慣行農業を行う地域と有機濃業が広まっている地域とを比較しながら,要因分析を行った。有機農業を営む農民集団は高いレベルのソーシャル・キャピタルを蓄積していることがわかった。長年にわたる有機農業への取組は,規範と信頼に対する肯定的な影響があり,ソーシャル・キャピタルの形成を容易にする。農村の他に,沿岸域資源を持続的に利用するという観点から,漁村についても同様な調査を実施した。 調査結果の成果は,地域農林学会及び農業経済学会において口頭発表し,また学会誌に投稿した。
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Research Products
(1 results)