2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ子宮筋に分布するプロスタノイド受容体の生理的役割と発現調節機構に関する研究
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05F05481
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
種池 哲朗 Rakuno Gakuen University, 獣医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAO Jinshan 酪農学園大学, 獣医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ブタ子宮 / プロスタノイド / プロスタノイド受容体 / Adrenaline作動性神経 / シナプス前受容体 / 放出調節 |
Research Abstract |
1、内因性プロスタノイドがブタ子宮筋を支配するadrenaline作動性神経からのnoradrenaline(NA)放出に影響を及ぼすか否かを放出実験から解析した。^3H-NAを取り込ませた子宮縦走筋標本にフィールド電気刺激(EFS,50V,0.5ms,30s)を与えると刺激頻度依存性の^3H-NA放出(2Hz,0.94±0.05%;5Hz,1.16±0.15%;10Hz,1.67±0.22%,20Hz,2.16±0.25%)が誘起された。同様な電気刺激をプロスタノイド合成酵素阻害薬であるindomethacin(3μM)の存在下で与えると^3H-NA放出は著明に増強された(2Hz,1.16±0.09%;5Hz,1.76±0.21%;10Hz,2.84±0.32%;20Hz,3.29±0.32%)。中程度の放出を誘起する10Hzの刺激を用い一回目の刺激(S1)と二回目の刺激(S2、indomethacin非存在、存在)で放出される^3H-NA量の比(S2/S1)を算出し、NA放出に及ぼす内因性プロスタノイドの影響を検討した。その結果、indomethacin非存在下のS2/S1は、0.62±0.07、存在下のそれは0.85±0.05であり有意な増加が認められた。これらのことから、内因性プロスタノイドがブタ子宮のNA放出の抑制性調節に関与している可能性が考えられた。 2、各種プロスタノイドのNA放出に及ぼす影響を輪走筋で検討した結果、縦走筋での結果(前年度に報告済)と同様にPGE2、sulptostone(EP3)、U46619(TP)がEFS誘発性の^3H-NA放出を有意に抑制することが明らかとなった。 3、Adrenaline作動性神経の指標としてprotein gene product 9.5(PGP9.5)とtyrosine hydroxylase(TH)抗体、プロスタノイド受容体の指標としてTPとEP_3の抗体を用い、二重蛍光染色を行い神経上にプロスタノイド受容体が存在するかを解析した。その結果、adrenaline作動性神経上にTP受容体及びEP_3受容体が存在することが確認された。 これらの成績から、ブタ子宮において、内因性のプロスタノイドは子宮筋のみならず、adrenaline作動性神経上に存在するTPとEP_3受容体を介し、noradrenaline放出を抑制し、間接的に子宮運動の調節に寄与している可能性が示めされた。 4、ブタ子宮筋を支配するcholine作動性神経上にもプロスタノイド受容体が存在するか否かを^3H-cholineを取り込ませた子宮筋標本を用い解析した。しかし、何れの筋層においてもEFS(50V,1ms,60s)又はhigh-K+(50mM)刺激では有意な^3H-cholineの放出増加が認められなかった。同様な放出実験をcholine作動性神経支配が密であるマウスの胃と腸管を用いて行うと、非刺激の流出に比較し、EFS(2-3倍)とhigh-K+刺激(8-9倍)では著明な^3H-cholineの放出増加が認められた。これらのことから、ブタ子宮ではcholine作動性神経の分布が疎であるため、^3H-choline放出を指標にしては神経性プロスタノイド受容体を解析することは困難であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)