2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリミアンの細胞増殖に果たす役割に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
05F05484
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五十嵐 一衛 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JARVINEN Aki 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリアミン / プトレスシン / スペルミジン / スペルミン / α-ジフルオロメチルオルニチン / 蛋白質合成 |
Research Abstract |
低分子生理活性物質ポリアミン(プトレスシン、スペルミジン、スペルミン)は細胞増殖・分化に重要な役割を果たす。私達の研究室では、ポリアミンが細胞内で主としてRNAと結合して存在しており、細胞増殖に必要な特定蛋白質の合成を翻訳レベルで促進することにより細胞増殖に貢献していることを、大腸菌を用いて明らかにした。本研究では、動物細胞におけるポリアミンの細胞増殖に果たす役割を検討した。マウス乳がんFM3A細胞をポリアミン生合成阻害剤α-ジフルオロメチルオルニチン処理すると、培養3日後に細胞内ポリアミン量は著しく低下し、細胞増殖は約20%に低下した。生合成阻害剤と同時にプトレスシンを培地に添加すると細胞増殖は回復するので、細胞増殖速度の低下はポリアミンの低下に依存していた。この条件下、合成される蛋白質を二次元電気泳動で分析し、ポリアミン量低下により約10種類の蛋白質の合成が翻訳レベルで低下していることを見出した。これら蛋白質をエドマン分解及びMALDI-TOFMSで同定したところ、それらはGrp78、Hsc71、Hsp60、Cct2、Cct5、Vim、HnrpI、Hnrpab、Pgam1、Aop2、eIF5Aであった。真核細胞の蛋白質合成反応はmRNAのcap構造のeIF4Eによる認識に始まり、40Sリボソーム亜粒子がmRNA上を開始コドンAUGまでスキャニングする。このスキャニングに必要なRNAヘリカーゼに対するポリアミンの効果を検討したところ、ポリアミンはこの活性を阻害した。従って、ポリアミンによる蛋白質合成促進は40Sリボソーム亜粒子のmRNAスキャニングとは異なる部位で起こっていることが明らかとなった。引き続き、ウサギ網状赤血球無細胞蛋白質合成系を用いてポリアミンによる蛋白質合成促進メカニズムを解析中である。
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Research Products
(6 results)