2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミンの細胞増殖に果たす役割に関する分子生物学的研究
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05F05484
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五十嵐 一衛 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JARVINEN Aki 千葉大学, 大学院薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリアミン / プトレスシン / スペルミジン / スペルミン / αージフルオロメチルオルニチン / 蛋白質合成 / p27^<Kip1> / p21^<Cip1> |
Research Abstract |
本年度は、上記研究課題の以下の2項目に関して新知見を得た。 1.マウス乳がんFM3A細胞をポリアミン生合成阻害剤α-ジフルオロメチルオルニチン処理すると、培養3日後に細胞内ポリアミン量は著しく低下し、細胞増殖は約20%に低下した。生合成阻害剤と同時にプトレスシンを培地に添加すると細胞増殖は回復するので、細胞増殖速度の低下はポリアミン量の低下に依存していると考えられた。この条件下、合成される蛋白質を二次元電気泳動で分析し、ポリアミン量低下により翻訳レベルで合成が低下する蛋白質の候補を10種同定した。この10種の蛋白質のmRNAレベルをNorthern blottingで、蛋白質レベルをWestern blottingでそれぞれ測定し、Hisp60、Cct2、Hnrp1、Pgam1及びeIF5Aの5種の蛋白質合成が翻訳レベルでポリアミンにより促進を受けることを明確にした。大腸菌ではポリアミンにより翻訳レベルで合成促進を受ける蛋白質をコードしている遺伝子群を"ポリアミンモジュロン"と命名したが、これら5種の蛋白質をコードしている遺伝子群は真核細胞のポリアミンモジュロンであると考えられる。 2.HeLa細胞にチミジンまたはチミジン+アフィディコリンを加えて同調培養を行うことにより、細胞周期のG_1/SまたはG_2/M期におけるポリアミンの役割を検討した。ポリアミンの役割は、ポリアミン量が正常なHeLa細胞と、ポリアミン生合成阻害剤処理によりポリアミン量が低下したHela細胞を用いて検討した。G_1/S期では、ポリアミン量が低下するとS期への移行が遅れ、p27^<Kip1>とp21^<Cip1>レベルの上昇が認められた。G_2/M期からG_1期への移行も、ポリアミン量の減少により遅れが認められた。この場合は、多核化細胞が増え、アクチン合成とその重合化に遅れが認められた。ポリアミンの細胞周期に果たす役割に関して、目下分子レベルで詳細に解析中である。
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Research Products
(6 results)